「相続した土地が使えないかも?」その不安を解消する3つのチェックリスト

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親から土地を相続したけれど、
「この土地、本当に使えるの?」
「何か問題があったらどうしよう…」
そんな不安を感じていませんか?

実は、相続された土地の中には、すぐには活用できない、あるいは思った以上に制約の多いケースも少なくありません。
でも大丈夫。まずは冷静に、ポイントを押さえてチェックすることが大切です。

この記事では、「相続した土地を活用したいけれど不安」という方のために、最低限確認しておきたい3つのチェックリストをご紹介します。

チェックリスト①【接道義務を満たしているか?】〜土地の価値を左右する最重要ポイント〜

「接道(せつどう)」とは、あなたの土地が建築基準法上の“道路”に、一定以上接しているかどうかということです。
これを満たしていなければ、基本的に建物を新しく建てることができません。

建築基準法上の「接道義務」とは?

建築基準法第43条では、建築物の敷地は原則として、以下の条件を満たす必要があります。

✅ 幅4m以上の道路に
✅ 2m以上接していなければならない

これが「接道義務」と呼ばれるものです。

つまり、どんなに広くて立地が良い土地でも、接道義務を満たしていなければ家は建てられないということです。
この状態の土地は「再建築不可」とも呼ばれ、不動産の資産価値が大きく下がる可能性があります。


接している「道路」はどんな道?確認が必要です

注意すべきは、どんな道でもいいわけではないということ。
「建築基準法上の道路」でなければ、接していても意味がないのです。

主な例は以下のとおりです:

種類内容注意点
42条1項1号道路公道(国道・県道・市道など)問題なし
42条1項5号道路(位置指定道路)開発時に指定された私道幅・通行・所有者の確認が必要
42条2項道路(みなし道路)昔からある幅4m未満の道セットバックが必要なことが多い
私道・里道誰かの私有地、通行権不明原則、建築不可となる可能性あり

特に注意すべきは私道・通路のみに面しているケースです。
例えば「親の代では普通に住んでいた家でも、再建築しようとしたら接道が不十分とされ、建てられなかった」という事例は多数あります。


「再建築不可」の土地とは?どうなるの?

接道義務を満たさない土地は、建て替えや新築ができないため、売却・活用の選択肢が大きく制限されます。

リスク・デメリット:

  • 空き家を解体しても、新しい建物が建てられない
  • 住宅ローンやアパートローンの審査が通らない
  • 売却時の価格が半額以下に下がるケースも

ただし、自治体の許可を得て「43条但し書き道路扱い」にして建築を認める方法や、近隣の土地を一部買い取って接道を確保する方法もあります。


まず何をすればいい?

最初の一歩は「現地と登記簿だけでは判断できない」ということを知ることです。

✅ 市区町村の建築指導課や都市計画課に「法的な接道状況」を問い合わせる
✅ 必要に応じて不動産業者や建築士に現地調査を依頼する

「ただの通路かと思っていた道が、実は建築基準法上の道路だった」というラッキーなケースもありますし、その逆もあります。


まとめ:土地の活用の可否は“接道”で8割決まる

接道義務を満たしているかどうかは、
土地の「建築可否」だけでなく「資産価値」や「活用プラン全体」に直結する、非常に重要なポイントです。

相続してすぐに何も手をつけていない土地であれば、まずは「この土地、建物が建てられるか?」という視点で接道状況の確認から始めることをおすすめします。

チェックリスト②【土地の用途地域と制限を確認する】〜建てられるモノと高さのルールを知ろう〜

土地を活用したいと考えたときに、必ず押さえておくべきなのが「用途地域(ようとちいき)」と呼ばれるルールです。
これは、土地の使い方(建物の種類や規模)を市区町村があらかじめ決めている区域のことで、土地に何が建てられるか/建てられないかを大きく左右します。


用途地域とは?

用途地域とは、都市計画法に基づき、土地の利用目的に応じてエリアを区分けしたものです。
全国の都市計画区域では、以下の13種類の用途地域のいずれかに分類されています。

住宅中心のエリア(住環境を守る)

  • 第一種低層住居専用地域
    → 一戸建てなど低層住宅のみ。3階建てや店舗は基本NG
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域

住居・商業が混在するエリア

  • 第一種住居地域
    → マンション・中規模店舗・学校などが可能
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域

商業中心のエリア(店舗・オフィス向け)

  • 近隣商業地域
  • 商業地域

工場・倉庫などもOKなエリア

  • 準工業地域
    → 住宅も工場もOK。比較的自由度が高い
  • 工業地域
  • 工業専用地域

なぜ用途地域の確認が必要なの?

土地の活用プラン(例:アパート経営、店舗、福祉施設、戸建て建築など)には、用途地域が強く影響します。

例えば:

  • 低層住居専用地域 → アパートは可、コンビニや事務所は原則NG
  • 商業地域 → 高層ビル・ホテル・パチンコ店などもOK
  • 工業専用地域 → 住宅建築は不可!

つまり、用途地域によって「建てたい建物が建てられない」可能性があるということです。
この制限を無視してプランを立てると、時間もお金も無駄になってしまいます。


建ぺい率・容積率とは?

用途地域に応じて定められているもう1つの重要な指標が、「建ぺい率」と「容積率」です。

用語意味
建ぺい率敷地面積に対する建物の建築面積の割合60%なら100㎡の土地に60㎡までの建物を建てられる
容積率敷地面積に対する延床面積の割合200%なら100㎡の土地に最大200㎡の延床面積

これらは、建物の大きさ・階数・ボリューム感に直結します。
例えば、容積率が低ければ3階建てや広い施設は建てられない、という制限が出てきます。


その他の制限も要チェック!

用途地域以外にも、以下のような制限がかかっている場合があります:

  • 高度地区:建物の高さ制限がある(斜線制限など)
  • 防火・準防火地域:防火仕様の建材・構造が義務付けられる
  • 風致地区・景観地区:外観・色・看板などに制限がある
  • 埋蔵文化財包蔵地:事前の発掘調査が必要になることも

これらは「都市計画図」「法令制限調査票」などで確認できます。
不動産会社や建築士に相談すれば、無料で調べてくれるケースもあります。


まとめ:土地の可能性は「地域指定」で決まる

用途地域とその制限は、土地活用のプランを立てる前に必ず調べておくべき最優先ポイントです。

✅ 自分の土地がどの用途地域にあるのか?
✅ 建ぺい率・容積率・高さ制限はどうなっているか?
✅ 活用したい用途に適しているか?

これらを知らずに進めてしまうと、「アパートを建てようと思ったのに建てられない」「収益性が大きく下がった」といった失敗に繋がりかねません。


確認方法:

  • 市区町村のホームページ(都市計画図が公開されていることも)
  • 建築課・都市計画課での窓口相談
  • 不動産会社や建築士への調査依頼

「この土地に何が建てられるのか?」を明確にしたうえで、最適な活用プランを練っていきましょう。

チェックリスト③【インフラと地盤の状況を確認する】〜「住めるかどうか」以前の大前提〜

どんなに広くて立地が良い土地でも、「インフラが未整備」「地盤が弱い」土地では建物を建てられなかったり、予想以上の費用がかかる可能性があります。
つまり、その土地が本当に“住める”状態かどうかを確認することが、土地活用の第一歩なのです。


インフラとは?何がそろっていればOK?

土地活用でいう「インフラ」とは、主に以下の設備が整っているかどうかを指します:

インフラ設備チェックポイント
水道上水道が敷地内に引き込まれているか?/前面道路に本管があるか?
下水道または浄化槽公共下水道に接続できるか?/接続できないなら浄化槽設置が必要
電気電柱や引き込み線があるか?/引き込み可能か?
ガス都市ガスか?プロパンガスか?それとも供給がないか?
道路工事車両が入れる幅があるか?/配管を引き込めるか?

よくあるトラブル例:

  • 「水道は前面道路まで来ているが、敷地内には引き込まれていない」→引き込み工事に数十万円〜かかる
  • 「下水がないため浄化槽を設置」→定期的な点検・清掃コストがかかる
  • 「都市ガス非対応地域」→オール電化orプロパンガスを選択する必要あり

インフラが整っていない土地でも活用できないわけではありませんが、コスト増や利便性の低下に繋がるため、事前の確認が非常に重要です。


地盤の状況も要チェック!

インフラと並んで見落としがちなのが「地盤の強さ(地耐力)」です。
家やアパートを建てるには、ある程度の強度を持った地盤であることが求められます。

地盤が弱いとどうなる?

  • **基礎が沈下(不同沈下)**して建物が傾く
  • 地震時に液状化の危険がある
  • 地盤改良工事が必要になり、100万円〜300万円の追加費用が発生

特に以下のようなエリアは要注意:

  • 元・田んぼや沼地だった土地(埋立地)
  • 川沿い、低地、谷地形の土地
  • 盛土(人工的に土を盛った)土地

地盤の確認方法は?

  1. 地歴調査(ちれきちょうさ)
     その土地の過去の用途や地形を調べる。古地図・航空写真・住宅地図などを使って確認。
  2. 地盤サポートマップの活用(無料)
     地盤ネットやJ-SHISなどの公的サイトでは、地盤の目安や地震リスクを無料で確認できます。
  3. 地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験など)
     実際に建築前に行う詳細な調査。調査費用は5万〜10万円ほど。建築士やハウスメーカー経由で依頼可。

まとめ:インフラと地盤は「建てられるか」と「コスト」を左右する

インフラと地盤の確認は、
「その土地で本当に建物が建てられるかどうか」
「建てる際に追加コストが発生しないかどうか」

を判断するうえで絶対に欠かせません。

✅ 上下水道・電気・ガスは整備されているか?
✅ 地盤の状態は良好か?地盤改良の必要はありそうか?
✅ 工事車両や配管の導入が可能な立地か?

これらを確認したうえで初めて、「この土地で何ができるのか」を具体的に考えることができます。


確認方法:

  • 地元の役所(上下水道課・建築課)に相談
  • 建築士・不動産会社に現地調査を依頼
  • 地盤マップでリスクの目安を把握する

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